訃報 岡田真理子先生

僕の音大時代のマリンバの師匠、岡田真理子先生の訃報。あまりの突然に絶句しました。ほんとうに暖かく優しい方でした。音板をマレットでつまみ上げるようなタッチ。体の中は水で満たされていて揺らいでいるということ。曲をひとつの大きな持続として捉えること、すごく沢山のことを学びました。派手なソリストではなく、第二バイオリンの名手のような気配りのある演奏家でした。レッスンで生徒が演奏する時、じっと集中して生徒と一緒に呼吸をしながら聴く人でした。今思うとあの姿は、レッスンというより「共演」であり「伴走しながらの応援」だったように思います。

僕がもう一人の師匠(常軌を逸した厳しさの有賀誠門先生)にしょっちゅうボロクソに言われ落ち込んでいる時、慰め、励ましてくれたのも真理子先生です。それなのにイライラして口応えしてしまったこともありました…。何年も経ってから「あの時ユウスケくんに言われたことが、ずっと気になっていたけれど、私もそれがきっかけで気づいたことがあるの…」と話してくれました。

「練習を怠けて、レッスンに持ってくる曲がない時も、顔だけは見せに来てね」とおっしゃるので、本当にレッスン室に顔だけ見せに行ったことがあります。近況を雑談したら「ユウスケは、いつも自分の興味のあることに打ち込んでいるから、それでいいのよ」と言ってくれました。

お住まいは逗子でした。藤沢で僕がコンサートに出演した時、楽屋に来てくれ、手作りのお菓子を差し入れてくれました。「終わった後ヒマだったら、帰りにうちに寄ってね」と声をかけてくださいました。「ビールやお酒、自分の飲みたいぶんを買って来て。後でお金払うから」と言われ、嬉しくて沢山買っていったら「そんなに飲むの?!」と言われました。お家は見晴らしのいい山の上で、結局一泊しました。何の話をしたかは覚えていません。
最近は20年近くお会いしていませんでした。こんな形でお別れが来るなんて…「顔だけは見せに」行けばよかったのです。

僕は「人は死んだら、仏か神様か霊魂かわからないけど、時空を超えて、いろんな人に同時に会うことができる存在になる」と直観しています。訃報をきいた後、僕は自分の周りの空間を精一杯意識してみました。「真理子先生がここにいる!」と思い、涙が止まらなくなりました。

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